税金の基礎知識

法人税

◇ 交際費取扱いの税制改正(平成25年度改正)

 

得意先や取引先に対しての接待、贈答の費用等、交際費については会計処理上全額経費として計上しますが、税法上経費(損金)に算入できる金額に制限があります。

この度、交際費の支出を促し、消費活性化による景気回復を狙った政策的改正により損金に算入できる金額の制限が緩和され、平成25年4月1日以後に開始する事業年度から改正されることになりました。

 

■大法人(資本金が1億円超の法人)

 

改正 ≪ 事業年度開始日:平成25年3月31日以前の場合 ≫

交際費全額が損金不算入になる。

 

例:交際費が900万円の場合

 

 損金不算入 900万円

 

 

改正≪事業年度開始日:平成25年4月1日以降の場合≫

飲食のために支出した交際費の50%を損金に算入できるがそれ以外の交際費は損金不算入になる。

 

例:交際費が900万円の場合

(飲食費700万円・その他200万円)

 

 損金不算入 200万円

 

その他 200万円

 

損金不算入 350万円

 

飲食費 700万円

700万円 × 50% = 350万円

 

損金参入 350万円

 

 

 

■中小法人(資本金が1億円以下の法人)

 

改正前 ≪事業年度開始日:平成25年3月31日以前の場合≫

600万円までの10%と600万円を超える部分の金額は損金不算入になる。

 

例:交際費が900万円の場合

 

 損金不算入 300万円

 

600万円を超える部分

 

損金不算入 60万円

 

600万円 × 10% = 60万円 

 

損金参入 540万円

 

 

 

改正後 ≪事業年度開始日:平成25年4月1日以降の場合≫

以下の(1)か(2)を選択できます。

 

(1)800万円を超える部分の金額は損金不算入になる。

例:交際費が900万円の場合

 

 損金不算入 100万円

 

800万円を超える部分   

 

損金参入 800万円

 

 

 

(2)飲食のために支出した交際費の50%を損金に算入することができるがそれ以外の交際費は損金不算入になる。

 

例:交際費が900万円の場合

(飲食費700万円・その他200万円)

 

 損金不算入 200万円

 

その他 200万円

 

損金不算入 350万円

 

飲食費 700万円

700万円 × 50% = 350万円

 

損金参入 350万円

 

 

 

※ 1600万円超の飲食費の支払が有る場合には有利となります。

  中小企業で1,600万円超の飲食費を使う企業があるとは考えにくいですが。。。

  もし、そのような会社があれば、2社に分けてしまうと損金算入枠が

  

  800万円 × 2社 = 1,600万円

  

  となるため、新しく会社を作ったほうがいいですね。

  あまり現実的ではないですが…

 

 

今までは、会社が「会議費」として処理していたものが税務調査の際に「交際費」と認定されれば、必ず修正税額が生じていました。

この改正により、損金算入枠が拡充されたため、交際費の合計額が800万円を超えなければ、全額経費となります。

 

担当:高木

◇ 車の購入と減価償却

 

経営者の方であれば、数か月後に決算を控えている場合には「節税のために車を購入しようかな?」と思われたこともあるのではないでしょうか?

会社の事業内容にもよりますが、車は事業をしていく上で欠かせない、とても身近な資産です。

 

現金で一括購入!ということで200万円を支払ったとしても、支払った金額すべてが一度に経費にできるわけではありません。

 

車を購入した際は、購入時の経費にできるものと、「車両運搬具」として資産計上するものとに分かれます。

購入時に経費にできるものは下図のとおりです。 

 

経費にできるもの

 

自動車税・自動車取得税・自動車重量税・登録時にかかる諸費用

 

経費にできないもの

 

リサイクル預託金(情報管理料を除く)

 

車両代ですが減価償却資産として資産計上し、減価償却費として計上していきます。

減価償却資産とは、時の経過等によってその価値が減っていく資産で、法定耐用年数により使用可能期間ごとに配分していきます。

 

法定耐用年数は新車、中古車、車種により定められています。

新車は6年、中古車の場合は法定耐用年数ではなく、経過年数をもとに使用可能年数によることができます。

 

使用可能期間の見積りが困難であるときは、下図の簡便法により算定した耐用年数によることができます。

 

法定耐用年数の全部が経過しているもの

 

法定耐用年数 × 0.2

 

法定耐用年数の一部が経過しているもの

 

(法定耐用年数 ー 経過年数) + 経過年数 × 0.2

※算出した年数が1年未満の端数は切り捨て、2年に満たない場合は2年となります。

 

車両の減価償却は通常定率法を使います。

ここで、3月決算の法人が4/1に車両を買った場合の定率法の具体例を新車と中古車で見てみます。

 

(1)新車 耐用年数 6年 車両代(取得価額) 1,000千円

    期末簿価

 

1年目

 

1,000千円 × 0.333(定率法6年の償却率) × 12/12ヵ月 = 333,000円 667千円

 

 

 

667千円 × 0.333 × 12/12ヵ月 = 222,111円 444,889円
 

 

444,899円 × 0.333 × 12/12ヵ月 = 148,148円

 

296,741円

4年目

 

296,741円 × 0.333 × 12/12ヵ月 = 98,814円

 

197,927円

5年目

6年目

 

 

(2)中古車 法定耐用年数の全部が経過している場合

 

① 耐用年数の計算

 

6年 × 0.2 = 1.2年

 

1年に満たない月数は切り捨て、2年に満たない年数は2年とするため、耐用年数は2年

 

 

②減価償却費の計算

  償却費 期末簿価

 

1年目

 

1,000千円 × 1.000(定率法2年の償却率) × 12/12ヵ月 = 999,999円

残存価格1円残す

 

 2年目

 

0円  

 

購入した月により、これが更に月割されます。

例えば3月決算の法人が2月に購入した場合、その事業年度で計算された減価償却費の2ヶ月分が計上されます。

 

決して安くはない支出なので、このようなことも考慮しながら購入される時期を決めたほうがよいでしょう。

 

担当:村上

 

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