税金の基礎知識

固定資産税

 

◇ 固定資産税

 

6月16日の埼玉新聞で埼玉県新座市で住宅用地に課税される固定資産税について、新座市が誤った計算を行ったというニュースが報道されました。

 

住宅用地については、税負担を軽減するための特例措置である特例率(下図参照)があります。

今回、ニュースで取り上げられた問題は、特例率が乗じてなかったのです!

 

その結果、住民に多大なる損害をさせてしまいました。

 

 

固定資産税の

特例額

 都市計画税の

特例額 

 小規模住宅用地

住宅1戸あたり200㎡以下の土地 

価格 × 1/6 価格 × 1/3

 一般の住宅用地

小規模住宅用地以外の住宅用地

価格 × 1/3 価格 × 2/3

 

そこで、今回は固定資産税・都市計画税の計算をしてみたいと思います。

 

そもそも固定資産税とは・・・

対象となる資産は土地、建物、事業の用に供することができる資産です。

市内に所在する固定資産(土地、家屋及び償却資産)に対し、1月1日現在の所有者に課税されます。

 

対象資産

具体例

土地

田、畑、宅地、山林 等 

家屋

住家、店舗、工場、倉庫 等
償却資産

構築物、機械及び装置、斜陽及び運搬具

工具、器具及び備品 等 

 

償却資産を業種別に見ると下記の通りとなります。

業種

主な償却資産

共通 パソコン、コピー機、エアコン、看板 等

製造業

旋盤、ボール盤 等 
建設業 ブルドーザー、パワーショベル、フォークリフト 等
飲食店業 テーブル、椅子、厨房器具 等
小売業 陳列棚、陳列ケース 等
理容・美容業 シャンプー台、サインポール 等

 

償却資産とは購入してすぐに消耗してしまうものではなく、長い年月をかけて償却するものというイメージでしょうか。

 

次に都市計画税ですが、対象となる資産は都市計画区域のうち、市街化区域内に所在する土地や家屋(償却資産は対象外)です。

課税の対象となる資産を1月1日現在、所有する者に課税されるものです。

 

固定資産税・都市計画税の税額の計算方法ですが、課税の基礎となった課税標準額に下記の税率を乗じて計算します。

 

 

税率

固定資産税 1.4%(標準税率)
都市計画税 0.3%以下(制限税率)
新座市 0.18%
朝霞市 0.2%
さいたま市 0.3%
川越市 0.3%

※ 固定資産税は全国一律ではない。

※ 都市計画税は平成26年6月30日現在

 

そんな中から、今回はニュースにもなった土地、家屋に関わる固定資産税の計算がどのようになっているか?

具体例を示しながら、計算を出してみたいと思います。

 

毎年、5月上旬頃になると市区町村より固定資産税の明細書が送付されてきます。

計算をよく確認をすると、“うちってこんな評価なの?”と落ち込むくらい評価額が低かったりします。

まだ、ローン沢山残っているのに~みたいな・・・と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

あっ!本題に戻りましょう。

 

固定資産税・都市計画税を計算するにあたっての条件は下記のとおりです。

 

条件

共通

固定資産税率 1.4%

都市計画税立 0.2%

土地 土地 地積:70㎡
前年度固定資産税課税標準額 1,652,797
今年度固定資産税評価額 110,185,656
家屋 居宅 床面積:100㎡
前年度固定資産税課税標準額  
今年度固定資産税評価額 3,549,577

※ 課税標準額は納税通知書「課税資産(土地・家屋)の明細書」を参照

 

固定資産の評価は固定資産評価基準に基づいて行なわれます。

その価格が適正であるかどうか、市町村役場(東京23区は都税事務所)で閲覧することができます。

 

① 負担水準を求めます。(=評価額に対する前年度の課税標準額の割合)

 

            前年度課税標準額

負担水準(%) = --------------------------------- × 100

          今年度評価額 × 特例率

 

 ※ 負担水準

土地については税負担が地域や土地によって格差がないよう、公平にするための計算です。

 

今回の具体例で計算すると下記の通りになります。

Ⅰ 固定資産税の負担水準

 

   1,652,797

------------------------------ × 100 = 89%

11,018,656 × 1/6

 

Ⅱ 都市計画税の負担水準

 

   3,549,577

------------------------------ × 100 = 300%

 3,549,577 × 1/3

 

② 課税標準額を求めます。

土地は負担水準により負担調整措置がとられます。

 

 負担水準

課税標準額

100% 以上 本則課税標準
100%未満

前年度課税標準額 + (本来の課税標準額 × 5%)

※本則課税標準が20%を下回る場合は20%

(1) 土地(固定資産税) 

負担水準 89% < 100%  ∴100%未満   

1,652,797 + 11,018,656 × 1/6 × 5% = 1,744,619

 

(2) 土地(都市計画税) 

負担水準 300% > 100%  ∴ 100%以上

3,672,885(本則課税標準額)

 

(3) 家屋(固定資産税・都市計画税)

負担調整措置なし

3,549,577

 

課税標準額をまとめると下記の表になります。

  固定資産税

都市計画税

土地 1,744,619  
家屋 3,549,577 3,549,577

課税標準額

(千円未満切捨)

5,294,000 7,222,000

 

③ 税額を求めます。

 

(1) 固定資産税

5,294,000 × 1.4% = 74,116

 

※ 固定資産税相当額(端数処理によりズレが生じます)

土地 1,744,619 × 1.4% = 24,424

家屋 3,549,577 × 1.4% = 49,694 

 

(2) 都市計画税

7,222,000 × 0.2% = 14,444  

 

※ 都市計画税相当額(端数処理によりズレが生じます)

土地(都市計画税) 3,672,500 × 0.2% = 7,529

家屋(都市計画税) 3,549,577 × 0.2% = 7,099

  

 

(3) 税額

74,116 + 14,444 = 88,500(百円未満切捨)

 

よって、固定資産税額・都市計画税額は 88,500 円 となりました。

 

 皆さんもご自分の固定資産税の計算に間違いがないか計算をしてみて下さい。

 

 

担当:吉尾

 

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